L2ネットワークについて(VLANとかSTPとか)

Version:1.0 of 2011/03/03
Author:SUZUKI Masashi
Mail:m15.suzuki.masashi@gmail.com

Agenda

  1. L2ネットワークについての軽い説明
  2. VLAN
  3. STP

L2ネットワーク

  • Layer2
    • データリンク層 (OSI / TCP/IP)
  • MACアドレスを元にルーティング(スイッチング)を行う
  • ブロードキャストフレームが届く範囲
    • ブロードキャストドメイン
    • 直接通信できる範囲
    • いわゆるLAN

L2ネットワーク Cont..

+-----+   +-----+   +-----+
| PC1 |---| SW  |---| PC2 |
+-----+   +-----+   +-----+
             |
          +-----+
          | RT  |
          +-----+
             |
+-----+   +-----+   +-----+
| PC3 |-- | SW  |-- | PC4 |
+-----+   +-----+   +-----+

スイッチング

PC1からPC3にフレームを送信する場合を考える。

  1. PC1はSWに(ユニキャスト)フレームを転送する。
  2. SWは送信元PC1のMACアドレスを学習する。
  3. SWは受信したポート以外のポートへフレームを転送する(フラッディング)
  4. PC3がフレームを受信する。
  • SWはPC1のMACアドレスを学習したのでこれ以降、PC1宛のフレームをフラッディングしない。
+-----+   +-----+   +-----+
| PC1 |---| SW  |---| PC2 |
+-----+   +-----+   +-----+
         /   |   \
+-----+ / +-----+ \ +-----+
| PC3 |/  | PC4 |  \| PC5 |
+-----+   +-----+   +-----+

ブロードキャスト

  • MACアドレス FF-FF-FF-FF-FF-FF に送信する。
  • L2ネットワーク内のすべてのノードにフレームを送信する。
  • 結構頻繁に発生する。
    • ARPリクエスト
    • DHCP
  • ネットワーク設計上、ブロードキャストドメインはなるべく小さい方が良い。
    • ブロードキャストドメインを小さくするための対策としてのVLAN

VLAN

  • 物理的には1台のスイッチ内に仮想のスイッチが複数台存在するイメージ。
  • 物理ポートに縛られず、柔軟にL2ネットワークを構築できる。
  • VLAN間で通信するにはL3(VLAN間)ルーティングが必要。
               +----------+
               |    RT    |
               +----------+
                    |
+----------+   +----------+   +----------+
| PC1(VL1) |---|   L2SW   |---| PC2(VL2) |
+----------+   +----------+   +----------+
              /     |      \
+----------+ / +----------+ \ +----------+
| PC3(VL1) |/  | PC4(VL1) |  \| PC5(VL2) |
+----------+   +----------+   +----------+

VLAN(用語)

  • スイッチポート
    • アクセスポート
      • 1つのVLANのみ所属できるポート
      • いわゆる普通のスイッチポート
    • トランクポート
      • 複数のVLANに所属できるポート
      • フレームについているVLANで所属VLANを判別する。
        • linuxだとaptitude install vlanでvlanタグを付けたフレームを転送できる機能がインストールできるよ!!
    • ルーテッドポート
      • IPアドレス割り振られているポート
      • ルーターのインターフェースのイメージ
    • SVI
      • L3スイッチの内部インターフェース
  • VLANの形式
    • スタティックVLAN
    • ダイナミックVLAN

VLAN間ルーティング

ルータがトランクポートに非対応の場合、ルータのポートを2つ使う。

               +----------+
               |    RT    |
               +----------+
          VL1 →  |    | ← VL2
+----------+   +----------+   +----------+
| PC1(VL1) |---|   L2SW   |---| PC2(VL2) |
+----------+   +----------+   +----------+
              /     |      \
+----------+ / +----------+ \ +----------+
| PC3(VL1) |/  | PC4(VL1) |  \| PC5(VL2) |
+----------+   +----------+   +----------+

VLAN間ルーティング cont...

ルータがトランクポートに対応の場合、ルータのポートを1つにサブインターフェースを割り当てる。

               +----------+
               |    RT    |
               +----------+
                     | ← トランクポート
+----------+   +----------+   +----------+
| PC1(VL1) |---|   L2SW   |---| PC2(VL2) |
+----------+   +----------+   +----------+
              /      |     \
+----------+ / +----------+ \ +----------+
| PC3(VL1) |/  | PC4(VL1) |  \| PC5(VL2) |
+----------+   +----------+   +----------+

VLAN間ルーティング cont....

L3スイッチを使う場合、L3スイッチ内でルーティングをすることができる。

+----------+   +----------+   +----------+
| PC1(VL1) |---|   L3SW   |---| PC2(VL2) |
+----------+   +----------+   +----------+
              /     |      \
+----------+ / +----------+ \ +----------+
| PC3(VL1) |/  | PC4(VL1) |  \| PC5(VL2) |
+----------+   +----------+   +----------+

ブロードキャストストーム

PC1からにブロードキャストフレームを送信する場合を考える。

  1. PC1からSW1に送信される。
  2. SW1からSW2とSW3にフラッディングされる。
  3. SW2からSW4とPC2にフラッディングされる。
  4. SW4からSW3とPC4にフラッディングされる。
  5. SW3からSW1とPC3にフラッディングされる。
  6. ...以下繰り返し。
+-----+   +-----+   +-----+   +-----+
| PC1 |---| SW1 |---| SW2 |---| PC2 |
+-----+   +-----+   +-----+   +-----+
             |         |
+-----+   +-----+   +-----+   +-----+
| PC3 |---| SW3 |---| SW4 |---| PC4 |
+-----+   +-----+   +-----+   +-----+

STP

  • Spanning Tree Protocol
  • ブロードキャストストームを防ぐための技術
  • ループにならないようあらかじめ計算されたポートをブロック状態にしておく。
    • L2ネットワークが論理上ツリー構造になる。
  • 障碍時に自動的に有効となる。(冗長性)
  • VLANごとにツリー構成を変えることができる。(負荷分散)

STP(用語)

  • BPDU
    • STPの情報をやりとりするパケット
  • ルートブリッジ
    • ブリッジIDが1番小さいスイッチ
  • ルートポート RP
    • ルートブリッジ以外のスイッチの内一番、ルートブリッジに近いポート。ルートブリッジからのBPDUを受信するポート
  • 指定ポート DP
    • 一番ルートブリッジに近いポート。ルートブリッジからのBPDUを送信する。
  • ブロックポート(非指定ポート) NDP
    • ルートポート、指定ポートに選ばれなかったポート。データの送受信ができない。
  • ブリッジID
    • プライオリティ + MACアドレスの値
  • 近い遠いの計算はコスト値で決まる。

STPのコストの優先順位

  1. ルートブリッジへのコストの累計で比較
  2. 送信元ブリッジIDで比較
  3. 送信元ポートIDで比較

STP 構成

  • SW1: ブリッジID 1
  • SW2: ブリッジID 2
  • SW3: ブリッジID 3
  • SW4: ブリッジID 4
+---------+ DP   RP +---------+
|   SW1   |---------|   SW2   |
+---------+         +---------+
     | DP                | DP
     |                   |
     | RP                | RP
+---------+ DP  NDP +---------+
|   SW3   |---------|   SW4   |
+---------+         +---------+

STP その他細かいトピック

  • STPを高速化したRSTP
  • STPをグループ化したMST
  • VLANごとのSTPであるPVST
  • STP以外のL2の冗長化技術であるリンクアグリケーション